日本三大そばのひとつにも数えられる長野県長野市の戸隠地方
その戸隠地方でそばを食べると、なんとも食べやすい蕎麦の盛り付け方をしてくれているではないですか。
戸隠地方の蕎麦屋では郷土色あふれた「ぼっち盛り」にて蕎麦を楽しむことができます。
ぼっち盛りの名前の由来は諸説あり。
なんだか「ぼっち盛り」と聞くと、独りぼっちという言葉からあまり良い印象を受けないわけですが、ぼっちとの意味には諸説ありそれを夢想するのも蕎麦の旨さをさらに引き立てる調味料となってくれます。
名前の由来については諸説あるため、各主張を中立的にご案内したいと思います。
戸隠地方の方言にて「ひとくくり」を表す言葉説
戸隠地方ではひとくくりのことを「ぼっち」という方言をつかうため、これがぼっち盛りの語源となった説があります。
戸隠流”ぼっち盛り”
戸隠特産の根曲がり竹で作ったザルの上に、”ぼっち盛り”と言われる盛りつけをします。
ぼっちとは、一くくりを表す戸隠の方言です。
方言から由来がきていると主張する蕎麦屋のメニューには上記のような説明文が書かれていました。
ぼっちという言葉は多くの人には「ひとりぼっち」を想像させるとおもいますが、戸隠地方の方言では「ひとくくり」を表す言葉のようですので、意味合いとしては逆ともとれます。
ぼっち盛りの画像を見てもらうとわかるとおり、蕎麦がまとめられて盛り付けられていますので、そのくくりのことをぼっちと表現したという説です。
ぼっち=法師説もあり。これも修験の山として有名な戸隠ならではの由来のひとつ。
ぼっちの由来については他の説もあります。
「ぼっち」という名前にも意味があり、「ぼっち」を漢字で書くと「法師(または坊主)」と書きます。
これは山に入り、一人で籠り修行をしたお坊さん「独り法師」に由来しており、修験の山としても有名だった戸隠では、多くの法師が修行に来て、そのときに食べていたのがそばであったことに由来しているものではないかと考えられています。
出典:戸隠そば山口屋
山ごもりをする法師(ぼっち)から名がついたとする説です。
戸隠は本当に山部会場所であり、古くから修行に来る場所というのは行けばわかります。普通にはなかなか行けない場所ですので。
そこに修行しに来ている法師から名がついたとする説となります。
見た目にもこだわってぼっち盛り誕生説
方言や修行僧説とは打って変わって「見た目重視」を唱える勢力もあります。
一般的な麺状のそばは「そばきり」と言い、江戸時代頃に始まったとされています。戸隠そばは、麺を5~6束にして、ざるに並べた独特なぼっち盛りと呼ばれる盛り方をします。
なぜかと言うと、祭礼などの晴れの席でもてなし料理として出されることが多かったため、味だけでなく見た目にもこだわってぼっち盛りをしていたようです。出典:株式会社おびなた
ぼっちに盛り分けるためには、切れたり折れたりしたそばではうまくいきません。不揃いなそばは、盛り分ける途中ではずされます。見目も味もよいそばだけが、ざるに盛られて供される、いわばハレの料理というわけです。ぼっち盛りは、戸隠そばが神様(権現様)へのお供えや、高貴な方へのおもてなし料理として地域に定着してきたことを物語っているのです。
出典:戸隠神社
祭礼などの晴れの席でもてなす料理の為、味だけではなく見た目も華やかにこだわりぼっち盛りが誕生したということです。
たしかにそばをそのまま盛り付けるよりも、見た目が素晴らしいため見ていて華やかな気持ちになります。
この説は、戸隠神社のHPにも書かれていることから、半分オフィシャルな由来ともいえます。
結論、だれも本当の由来はわかっていない。
いろいろと調べてみましたが、ぼっち盛りの由来については皆自分たちの主張をおこなうだけで、真相については到達することができませんでした。
頭半分抜け出しているのは、戸隠神社が自身のHPにて採用している「晴れの日だから見た目もこだわった説」ではないかと思いますが、これも裏付ける資料などは現地でも発見できていません。
むしろ現地にいくと各お店で主張している説が異なるため混乱しました。
ということで、正解がないことは調べたり考えたりするのは楽しいですので、皆さんも戸隠地方でそばを食べる際には、自分なりに納得できる説を捜し歩いてみてはいかがでしょうか。
私個人的には「方言説」推しです。
理由は晴れの日見た目重視説、法師=ぼっち説はあまりにもかっこよすぎて後から考えたのではないかと考えるからです。
皆さんいかがでしょうか。