日本全国の元祖・発祥のお店探訪を進める中で、このメニューにも元祖のお店があるのか?と驚くメニューが何点かあります。
「しゃぶしゃぶ」もその一つ、日本国中に知れ渡っているこの肉料理も、実は歴史が浅く元祖・発祥のお店が存在します。
大阪の北新地にお店を構える「スエヒロ本店」にて元祖しゃぶしゃぶを食べることができます。
しゃぶしゃぶの歴史はようやく60年越え。スエヒロ本店にて生まれたメニューが日本中で食べられる料理に昇華しました。
多くの方が食べたことがあるであろう「しゃぶしゃぶ」というメニューを考案したのが、この大阪のスエヒロ本店となります。
スエヒロ本店は “しゃぶしゃぶ” を考案したことでもよく知られています。現在は日本を代表する肉料理のひとつといえますが、その起源は先代店主が昭和27年(1952年)に考案したもの。
この元祖としての誇りを守り、スエヒロ本店では高級肉料理店として最高の心配りで御賞味いただいています。
使用する牛肉は極上の黒毛和牛を厳選し、心血を注いで永年守り続けている味「胡麻酢」は牛肉と絶妙のハーモニーを醸し出す。これこそ多くのファンを魅了する元祖 “しゃぶしゃぶ” なのです。吟味された胡麻を10時間かけてすりつぶし、店主自ら毎朝調合する門外不出の胡麻酢は多くのファンを今日も魅了しております。
出典:スエヒロ本店公式HP
しゃぶしゃぶの名前の由来は、おしぼりの選択の音。
しゃぶしゃぶ発祥のお店という事で、名前の由来もしっかりと残っていました。
元々は、あっさりとした味わいでたんぱく質をたくさん摂取してもらうにはどうしたらよいか?という想いからメニューは考案されたようですが、良い名前を思いつくことが無く、苦慮していたようです。
ある日、店員さんがおしぼりを選択している「ジャブジャブ」という音から、肉を洗濯するという着想を得て「しゃぶしゃぶ」というネーミングが決まりました。
開発の経緯としては、これからの日本人には体格と体力の向上が不可欠だと思い、当時からあったビフテキやすき焼よりもあっさりとし、良質のたんぱく質を効率よく摂取できる「肉料理」の開発に取り組み、香り豊かなゴマをタレにする料理を考案いたしました。
大変おいしい牛肉の鍋料理が完成したのですが、なかなか良いネーミングが思い浮かばず悩んでいるとき、店の厨房から、仲居さんがお絞りを洗濯し濯いでいる「ジャブジャブ」と聞こえる音が大変気に入り、「しゃぶしゃぶは肉の洗濯だ!」とひらめいたのです。
出典:スエヒロ本店公式HP
こういったエピソードを知ることが出来るのも、元祖・発祥のお店めぐりをしている楽しみの一つでもあります。
スエヒロ本店は食べるメニューにてフロアが変わります!しゃぶしゃぶを食べるのは3階・4階。立地柄高級店でもお客様が多いので予約は必須です
スエヒロ本店では、しゃぶしゃぶの他にすき焼きや、ステーキを食べることもできます。
お店はワンフロアだけでなく、そのビル自体が「スエヒロ本店」となっていますので、階ごとに食べる料理が異なります
ステーキ系は2階、しゃぶしゃぶ・すき焼き等の鍋料理は3階、4階で食べることになります。
お店の人に聞いてみたのですが、来店する人のほとんどは「しゃぶしゃぶ」目当てで来ることから、3階・4階は非常に埋まりやすいとの事です。
立地的にも「北新地」という事から、高額店にも関わらず予約でいっぱいの日が多数あります。
確実に元祖のしゃぶしゃぶを食べたいときには、予約を必ずしてから訪れたほうが無難です。
私も当日空席確認して振られたことがあり、予定がわかるなら予約必須と強く思っています。
しゃぶしゃぶ元祖のお店の鍋は、しゃぶしゃぶ鍋では無かった!開発当時はしゃぶしゃぶ鍋に近いモノを使用していました。
スエヒロ本店でしゃぶしゃぶをオーダーするとまず驚くのが、一般的なしゃぶしゃぶ鍋を使用していない点です。
金属製の鍋に、直接出汁がはられるのですが真ん中によくある突起はありません。
お店のHPなどで歴史を紐解いてみると、メニュー開発当初は現在普及しているしゃぶしゃぶ鍋と同じような形状の鍋を使用していたようです。
出典:スエヒロ公式HP
この鍋は刷羊肉という中国の料理に用いられる鍋です。刷羊肉は薄切りにした羊肉を熱湯に通してタレをつけて食べるというものですので、調理器具や料理の着想自体は、しゃぶしゃぶのルーツは刷羊肉にあるといえます。
満州から復員された方が持ち帰ったのが始まりと言う“刷羊肉”「シュワンヤンロウ」で使用する銅鍋をしゃぶしゃぶに転用させたのが始まりです。
なべの底へ炭を入れることから排気のため真ん中に煙突があるのが特徴です。
出典:スエヒロ公式HP
中央にある突起部分は、鍋の下で炭をおこして利用した際に排気のための煙突という事です。
いつもしゃぶしゃぶ食べるたびに、まったく機能美が整っていない鍋の形が不思議でしょうがなかったのですが、ルーツをたどると形に意味があることが判明しました。
残念ながら、この鍋は現在では使われておらず、金属製の鍋だけの利用となります。
伝統の胡麻酢と、しゃぶしゃぶした肉の愛称は抜群。とてもおいしいしゃぶしゃぶでした!!
スエヒロ本店にてしゃぶしゃぶを食べる際には、タレは2種類の用意があります。
ポン酢と胡麻ダレ(胡麻酢)になるのですが、せっかく食べるのであれば伝統の胡麻酢をメインに食べてみるのがおもしろいとおもいます。
吟味された胡麻を10時間かけてすりつぶし、店主自ら毎朝調合する門外不出の胡麻酢は多くのファンを今日も魅了しております。
出典:スエヒロ本店公式HP
この胡麻酢はしゃぶしゃぶに合う調味料として、お店が用意されているキラーコンテントも言えるタレですので、やはり折角の元祖の店探訪なら深く深く味わってほしいタレとなります。
この胡麻酢に肉をしゃぶしゃぶして食べると、絶品以外の言葉が見つからなくなります。
肉には特選とそれ以外があるのですが、せっかくであれば値段は高くなりますが、特選を食べておきたいところです。
追加で一般的なタイプも食べましたが、全然味が違ったのでやはり値段が高くなるだけのことはあると思います。
漫画美味しんぼでは、第五巻ですき焼きとしゃぶしゃぶが全否定されていますが、もう年を取ってくると、しゃぶしゃぶで余計な脂が落とされた肉がうまくてうまくて箸がすすみます。
他の肉料理には無い、あっさりとした味わいはしゃぶしゃぶの魅力の一つだと思います。
私はほぼ手を付けないですが、野菜もふんだんに用意されていますのでご安心ください。
スエヒロ本店のしゃぶしゃぶは、元祖の見せながら最高峰のレベルを維持した、とても美味しい料理でした。
スエヒロ本店は、棟方志功が好きな人にはたまらない店
料理とは全然関係ないのですが、スエヒロ本店で棟方志功さんとの交流があったということで、店内にはいたるところに棟方志功の作品を使った品々が並びます。
箸をくるんでいる紙や、メニューにも棟方志功さんの版画作品が使われています。
棟方志功さんの作品を愛する人であれば、一度は訪れておきたいお店だと思います。
一点気になったのは、コースターにも棟方志功さんの作品が使われているのですが、さすがにここにビール乗せていいのかな・・・?と迷いました。
しかし、仕方ないのでつかいましたが、すごく好きな人には申し訳ないなと思ってしまいます。
各自判断してみてください。
自分の好きな「肉」+「元祖の店」という事でスエヒロ本店は最高のお店でした。しゃぶしゃぶのルーツをたどるのはとても楽しかったです。