日本全国に普及しているうどんの一種「きつねうどん」
実はその「きつねうどん」 の歴史は浅く、大阪で生まれて日本全国に普及したのはご存知でしたか?
今でも、大阪市にあるきつねうどん発祥のお店「うさみ亭マツバヤ」では、「きつねうどん」 のルーツを食べることができます。
店先には、ひっそりと「元祖きつねうどん」の文字が創業120年以上の老舗は貫禄ある営業
きつねうどんの元祖である、うさみ亭マツバヤさんは何と、 明治26年(1893年)にお店をスタートしているという事ですので、なんと創業120年を超える老舗といえるお店です。
元祖きつねうどんを売りにしまくっているのかと思いきや、お店の外観でわかるのは、木製看板にひっそりと「元祖きつねうどん」の文字があるだけです。
流石、120年を超えて営業を続ける老舗になると、貫禄があるなあ。と思ってしまいました。
うさみ亭マツバヤの店内は広く、2階席も用意されています。最大60名ほど利用できるので、よほど混み合わない限りすぐに元祖きつねうどんが食べられます。
店内は非常に縦に長い建物で、お店の外観だけ見たり、入ってすぐのスペースだけを確認すると、小さいお店だと思いますが、そんなことはありませんでした。
二階にも座席があり、総席数60席ほどあるようなので、団体のお客様にも対応できますし、よほど混み合っていない限り、混雑する時間帯でもきつねうどんにすぐありつけるようです。
キラーコンテンツの「元祖きつねうどん」があるのに、うさみ亭マツバヤさんではあくなき探求心で多くのうどんを提供しています。
「元祖きつねうどん」を提供しているうさみ亭マツバヤさんに伺ってみてわかることは、うどん屋としての矜持がすごいという事です。
私など下品な考えをしてしまうタイプの人間だと、「元祖きつねうどん」という他の店に無いキラーコンテンツを持っていれば、それを前面に押し出して「元祖きつねうどん」を食べにくるお客様を狙っていってしまうと思うのですが、うさみ亭マツバヤさんではそのような事はせずに、粛々とうどん屋としての営業をしています。
そのこだわりは豊富な種類のうどんメニューに表れていると思います。
「元祖きつねうどん」以外にも地元の方に愛されるメニューを考案し続けているので、お店を利用している地元の人がオーダーしているのは、きつねうどんではなく、それぞれが好みのうどんをオーダーし美味しく食べています。
きつねうどんの値段は580円、元祖のお店なのに値段はリーズナブル。
元祖・発祥のお店を数多く訪れるたびに、「結構強気な値段だな」と思うお店が多い中、うさみ亭マツバヤさんのきつねうどんは何と580円です。
とても良心的な値段で安心しました。
きつねうどん誕生のエピソードは、常連さんの意外な行動から。揚げを素うどんに入れるのを見て思いつく。
老舗故の誕生エピソードだなと思ったのが、きつねうどんが誕生した瞬間です。
元々寿司屋で働いていた、創業者がすうどんにセット販売していた、揚げや魚のすり身を、お客さんがうどんに入れて食べているのを見かけたそうです。
それならば最初からうどんに揚げを入れたメニューを出しても良いのではないか?ときつねうどんを考案したようです。
寿司にもいなりずしがあるように、うどんもおあげさんを使った料理があっても不思議やないやないかということで、すうどん(かけうどん)に添えて、おあげさんと魚のすり身の天ぷらを竹の蒸し籠に盛って、売ったんやそうです。
せやけどお客さんがうどんの中に一緒に入れて食べはるんで、おあげさんをうどんの上にのせて出すようになったそうです。
出典:旅ぐるなび 出典元も「きつねうどん口伝」(筑摩書房)からの引用
見ると観るの違いですよね、同じ場面に遭遇しても私ならメニュー化という事は思いつかないで、「変わったことをする客だな」で終わってしまうと思います。
商魂たくましい創業者の魂が、きつねうどんを誕生させたといえます。
「元祖きつねうどん」は素朴な味わい。シンプルなうどんに元祖の貫録を感じます。
「元祖きつねうどん」はとてもシンプルな味付けです。
関西にあるお店ですが、うどんの出汁は関東風のように少し色がついてるのが意外でした。
器の中央には、きつねうどんの看板である「揚げ」が大きく乗っています。
揚げは仕込むのに大型の鍋に10枚並べ、それを10段重ねて昆布、砂糖、塩などで味付けをして(醤油は使わず)二番ダシで炊く…という道のりを経て余分な油を抜きここまでふっくらとなるようで、ほどよい柔らかさの麺とホンマにうまくマッチングしてるなぁといつも感嘆。
出典:旅ぐるなび
こだわりぬいて作られている揚げはほんのりと甘くて、それだけ食べても美味しいです。
見た目以上にすべての具材と出汁があっさりとしているので、するっと食べることができるきつねうどんでした。
うさみ亭マツバヤさんの元祖きつねうどんは、実際に食べてみるとわかるのですが、それほど量があるようなうどんではなく、どんぶりも量もお手軽サイズです。
さらっと食べられるのがうれしいサイズです。
もし、きつねうどん食べてもまだお腹が空いているようであれば、徒歩15分~20分の場所に「肉吸い」の元祖のお店「千とせ」があるので、そこまで歩いていき、肉吸いの元祖を食べてみるのも面白いかもしれません。
↓日本全国の「元祖・発祥のお店」をまとめています
たった580円で、いつも食べている「きつねうどん」の元祖が楽しめる素晴らしいお店でした。出張・観光で大阪に立ち寄った際には一食割り当てても良いエピソード満載のお店です。