伊勢うどんをご存知でしょうか。
たぶんですが、日本で一番やわらかいうどんとして、そのショッキングな食感に賛否両論分かれる食べ物です。
この伊勢うどんという「名称」が生まれたとされているお店が、伊勢市にある老舗うどん屋「ちとせ」となります。
伊勢うどんの命名者はタレントの永六輔さん。「ちとせ」でうどんを食べ、その後ラジオで伊勢うどんと命名したといわれている。
伊勢うどんの歴史ですが、地元の農民の方が食べていた、お伊勢参りの参拝客用のうどんであったと諸説あります。
伊勢うどんの歴史
江戸時代以前からこの地の農民が食べていた地味噌のたまりをつけたうどんを、食べやすく改良したものといわれる。
もともと農民が自分たちの食事のために作っていたことから、できるだけ手間がかからず延ばす手間がいらない太い麺と、
また安く済むネギだけの具といううどんが形作られたのではないかと考えられている。
浦田町橋本屋七代目である小倉小兵がお蔭参りの参詣客へと供するためにうどん屋を開業したのが、伊勢うどん屋の最初と言われている。
すぐに参拝客に提供できるように常に茹で続け、必要量を釜揚げていたため、茹で時間を気にしなくてよいコシのないうどんが適していたとの説がある。
他に、神宮へ長旅をしてきた人向け(疲労が溜まっている人向け)の食事として江戸時代に開発された料理であり、疲労が溜まった人向けなので消化が良くなるように麺が柔らかいという特徴を持つようになったのではないかという説もある。
出典:うどん百科事典
約350年程前から伊勢には存在する「うどん」なわけですが、 こと「伊勢うどん」という名称については、実は歴史が浅いです。
地元では単純に、「うどん」「素うどん」と呼ばれていた伊勢うどんですが、タレントの永六輔さんがラジオで「伊勢うどん」と命名し、それを地元との方々が好機ととらえ採用したことが始まりといわれています。
昭和40年代の出来事と言われていますので、まだ伊勢うどんの名称になってからは50年弱の歴史しかないことになります。
今回ご紹介している「ちとせ」は、この永六輔さんが愛したお店という事で、また一説には初めて「伊勢うどん」を食べたお店ともいわれており、「伊勢うどん」という名称はこの「ちとせ」のうどんをイメージして命名されたのではないか?ともいわれております。
命名元としての元祖の称号を手にすることができるお店とも言えます。
「ちとせ」では多くの伊勢うどんメニューが並びますが、基本の伊勢うどんを味わってみましょう。
大正時代から続く老舗うどん屋の「ちとせ」には、多くのメニューが並びますが、せっかく食べに来た伊勢うどんであれば、まずはオーソドックスな、伊勢うどんを食べてみることをおすすめします。
基本の味がわかってこそ、派生している料理の良さがわかるというものです。ちとせでは伊勢うどんは500円という、観光地に構えるお店としてはうれしい価格設定ですので安心です。
伊勢うどんはとにかく柔らかい。うどんはコシが命!と考えている人からするとありえない料理です。
伊勢うどんの特徴は、全国各地のうどん達と比べてもトップレベルを誇る「やわらかさ」だと思います。
初めて食べる人の多くが、その圧倒的な柔らかさに恐れおののき、そしてリアクションが分かれます。
「こういった料理なんだな」と肯定する人もいれば、うどんはコシが命!と考えている人たちは、ありえないうどんとして否定の立場をとることが多いです。
しかし、どんなに否定してもこの伊勢うどん自体は江戸時代から食べられている料理なわけですから、変わることはありません。単純に楽しんだほうが良いと個人的には考えています。
太いうどんは1時間以上にも及ぶ、湯で時間に耐えられるため。箸で切れてしまううどんはやはり珍しいです。
どれほどに柔らかいかというと、伊勢うどんは箸で切ることもできてしまいます。
驚くことに、この柔らかさを利用して?子供の離乳食として食べさせることも地元では多くある様です。
何もトッピングされていない伊勢うどんは基本的に、うどんの麺とタレとそしてネギが入っているだけです。
このタレも「汁」ではなく、「タレ」と表現されるのが適切で、そのまま飲むのには適さないほどに味が濃いモノです。
ここに柔らかいうどんたちをこれでもかと絡ませて食べるのが伊勢うどんの食べ方です。
伊勢うどんは見た目からは想像できないのですが、さっぱりと食べることができます。
この太いうどんの麺と、圧倒的な色の濃さを誇るタレを見てしまうと、なんだか非常に味が濃いだけのうどんを想像してしまいますが、食べてみると意外にあっさりとしていて、つるつると食が進むことに驚きます。
うどんを長時間茹でているからでしょうか?一般的なうどんよりも表面に切れ込みなどが発生していて、そこにタレが絶妙に絡んでいくため、太いうどん麺に負けないでタレの味も同時に楽しめます。
食べ終わった後のどんぶりを見てみると、そこには漆黒のタレが残ります。
伊勢うどんを食べて、味があうなと思われた方は、一口タレを飲んでみることをお勧めします。
意外なほどに味はくどくなく、おいしいタレであったことが再認識できます。
伊勢うどんが提供されたときには、かなりのボリュームがあるような気分となりますが、食べ終わってみると歯ごたえが無かったからなのか、あまりお腹が一杯になっていないことに気づくと思います。
軽く、簡単に、サクッと食べられるご当地名物として非常に優秀です。
これなら、他の伊勢名物をさらに食べることができますので、とてもうれしい腹具合です。
↓日本全国の「元祖・発祥のお店」をまとめています。
独特な食感の伊勢うどんは、なかなか他のエリアで食べることが出来ない料理ですので、伊勢を訪れた際には食べてみることをおすすめします。「ちとせ」は定休日が水曜日なのでご注意ください。