飛行機に乗ると、普段の生活ではなかなか体験しない気圧の変化などにより体調の変化が起こってしまうことが有ります。
多くの人が苦しまされる痛みには飛行機に乗ることによって引き起こされる耳の痛み、「航空性中耳炎」がありますが、さらにもっと痛い症状がでることもあります。
それは、飛行機頭痛と呼ばれる飛行機に乗ることによって引き起こされる強烈な頭の痛み、「飛行機頭痛」です。
飛行機頭痛はとにかく、すごくすごくすごく痛い。
この飛行機頭痛、とにかくすごく痛いのが特徴です。
いろいろな症例を見てみると様々な表現がされていました。どれも相当に痛かったと思います。
- 右眼の奥が剣山でさされるように強く痛む
- 両眼の奥をつかまれるような強い痛み
- 頭を抱えたくなる感じでがんがん痛む
- バリっと痛いのがずっと続く
- 殴られたような痛みが顔面に続いている
時間にすると短い人で30分~1時間ほど、長い人だと数日間も症状が続くことが有ります。
ずーーっと、顔面が頭が激痛というのは耐えられません。飛行機頭痛は本当に恐ろしい症状です。
飛行機「頭痛」という表現がされていますが、症例をみると「顔面」が痛いと病院を訪れる人も多いです。飛行機頭痛とは頭の痛みと、顔の痛みを指すことが多いと思います。
着陸時と離陸時に起こることが多いです。特に着陸準備に入るあたりから注意が必要です。
飛行機頭痛の情報をみるかで、症例にたいして発生タイミングもまとめている論文がありました。
仙台市立病院医誌に飛行機頭痛と思われる症状で来院された方の記録をまとめ考察しています。
その中の表を見ると、飛行機頭痛は離陸時よりも「着陸時に起こりやすい」ことがわかります。
表1 離着陸で誘発された頭痛症例の臨床症状・画像所見のまとめ
年齢 | 性別 | 発症時期 | 場所 | 持続時間 | 画像所見 |
---|---|---|---|---|---|
28 | 女性 | 着陸 | 眼の奥 | 5日間 | 前頭洞大 |
19 | 男性 | 着陸 | 全体 | 40分 | キアリ奇形 |
21 | 女性 | 離着陸 | 前頭部 | 6日間 | 前頭洞大 |
34 | 女性 | 着陸 | 眼の奥 | 3週間 | 前頭洞大 |
45 | 男性 | 着陸 | 左目の奥~前額部 | 4時間 | 前頭洞大 |
32 | 女性 | 着陸 | こめかみ~前頭部 | 1時間 | 正常 |
45 | 女性 | 離着陸 | こめかみ | 1時間 | 正常 |
35 | 男性 | 離陸 | 右こめかみ~目の奥 | 1時間 | - |
出典:離着陸で誘発される頭痛 仙台市立病院医誌27,39-44,2007より一部抜粋
他の情報を見てみても、やはり着陸時に飛行機頭痛は起こることが多いようです。
85%以上の方が着陸態勢中に起こるとされ、約10%の方にはフライトにより頭痛側が対側にシフトする特徴があるとされています。
出典:ドクターズガイド
85%以上の方が着陸態勢に入ってから起こっているようですので、やはり飛行機頭痛は着陸が要注意ですね。
飛行機頭痛が発生しやすいのは、20代~の男性という情報もあり。
また、性別ごとに飛行機頭痛の発症例を見ると、女性より男性の方が多いという情報もありました。
年齢にすると、20代を超えてから急に引き起こることがおおいようですが、これは前頭洞が加齢とともに拡大していくからだと考えられます。
航空会社のHPでも注意喚起されています。
JALのHPにも「顔が痛い」という症状はどのように起きているのか、注意喚起されています。
顔が痛い
顔の表面近くには副鼻腔とよばれる空洞がいくつかあります。正常な場合、副鼻腔と鼻の間は自由に空気が出入りする事ができますが、鼻がつまっている時に気圧が変化すると、副鼻腔の中の空気が膨張収縮して副鼻腔炎になることがあります。
痛みが生じる部位は前頭部がもっとも多く、次いで眼の上下、眼と眼の間、頬です。
出典:旅立つ前に 機内で発生しやすい症状とその対処法(快適な空の旅のために)- JAL
用心に越したことは無いと思います。
飛行機頭痛の原因は気圧の変化が主な要因。温度・湿度・酸素濃度などの外的要因も注意しましょう。
飛行機頭痛の原因について、離着陸で誘発される頭痛 仙台市立病院医誌27,39-44,2007にて非常にわかりやすくまとめられていましたので、ご紹介させていただきます。
原因は
- 離着陸時の急激な気圧変化による、副鼻腔痛・気圧外傷・真空頭痛
- 低O2血症・高CO2血症による、三叉神経終末変化
といった、2つの要因があり複合的に飛行機の離着陸に頭が痛くなるようです。
出典:離着陸で誘発される頭痛 仙台市立病院医誌27,39-44,2007
気圧の変化による飛行機頭痛の場合ポイントは、フローチャートの2番目に書かれている「粘膜の障害・浮腫」になっているかどうかが重要です。
健康な状態であれば、飛行機に乗って気圧の変化が起きたとしても飛行機頭痛にはなりにくいです。
風邪・花粉症・慢性鼻炎などで鼻の粘膜に異常をきたしている状態に、気圧の変化が加わると、副鼻腔の圧が変化し頭痛につながります。
飛行機内は、地上よりも気圧は減ってしまいます。この減圧によって鼓膜内側や鼻・副鼻腔内の空気が膨張拡張します。一種の「真空による頭痛」:真空で膨張するペットボトルのような原理とも言えると思います。この行き場を失って拡張した空気が粘膜の三叉神経を刺激し、頭痛発作を発現します。
出典:
からだ相談Q&A:29才男性:飛行機の着陸時に頭痛 | 名医を探すドクターズガイド
とにかく、少しでも調子が悪いな。と感じているときに飛行機に乗るのであれば、予防と対策方法を覚えておいて損はないです。
飛行機頭痛の対策及び予防方法
実際に、飛行機頭痛にならないための知識と、なってしまった場合の対処はどうしたらよいのでしょうか。
予防方法となってしまった場合の対処方法にわけてまとめてみました。
予防方法1 点鼻薬を用意する
風邪気味だな、鼻が詰まっているな、と感じているならば飛行機に乗る前に点鼻薬を用意しておく必要があります。
実際に飛行機頭痛になってしまった人のブログなどを読んでも、一番効果があるのは点鼻薬によって、鼻の粘膜の炎症を抑え副鼻腔炎を防ぐことが一番効果が高そうです。
予防方法2 耳栓で気圧をコントロールする
飛行機の気圧変化に対応した耳栓が販売されていますので、それを使用することにより、離着陸時の気圧変化から体を守るという方法が有ります。
これは、個人的には飛行機に乗るときの必需品です。飛行機頭痛及び、同じ原因で発症する航空性中耳炎を防ぐことができます。
予防法3 飴をなめたりガムを食べる、こまめに水分を取る
これの意図している事は細かく水分を取ることが効果があるようです。ガム、飴はつばも出ますので効果があるようです。またガムはあごの部分を動かしているのも良いです。離陸、着陸のタイミングが一番の気圧の変化がありますので、そのタイミングでは必ず食べている事が良いと思います。
予防法4 寝ない
これを間違えている人が多いのではないでしょうか。私も間違えてました。体調悪い時に飛行機に乗ると、頭痛などが発症してしまうのだから、、、と考え、寝ていればせめて痛みは感じないだろうと、希望的観測から寝ます。
しかし、これが逆効果だったようです。
寝てしまうと、就寝中はつばの分泌とその飲み込みが少なることになり、それが結果として耳抜きが出来ずに痛みが発症することがあるようです。
予防法5 酒を飲まない
国内線ではなかなかお酒が提供される事は無いと思いますが、国際線だと有りそうです。
お酒を飲むと粘膜が腫れてしまうことがあり、圧力が抜けることを妨げてしまいます。また、血管が拡張し血流が良くなることにより頭の痛さを更に加速させます。
酒を飲んで勢いで寝てしまおうという対策は、かなりの逆効果になりそうです。
飛行機頭痛になってしまった場合の対処方法
対処方法1 耳抜き(バルサ法)を行う
副鼻腔内の圧力を抜く方法としては耳抜きが広く知られる方法です。
但し、常時圧力がかかっている飛行機内ではなかなかうまく耳抜きが出来ないこともあり、その場合は過度な耳抜きは、鼓膜を痛めることもあるので注意が必要です。
対処方法2 目の周辺を温める
鼻のつまりが無くなる=副鼻腔と鼻腔の空気がとおり圧力変化による痛みが軽減する可能性があります。
市販品の目を温めるタイプのアイマスクを利用したり、用意がない場合は温かいおしぼりなどをお願いして、目の周辺を温めるようにしていましょう。
対処方法3 鎮痛剤を飲む
もう治らないなら仕方ありません。鎮痛剤を飲んで対処するしかありません。手持ちの鎮痛剤が無い場合、JALではスタッフにお願いすると貰えることがある様です。
鎮痛剤をご希望される場合は乗務員にお申し出ください。
出典:旅立つ前に 機内で発生しやすい症状とその対処法(快適な空の旅のために)- JAL
飛行機頭痛になることがわかっている人などの情報を読むと、痛みが出る前にロキソニンやバファリンなどの鎮痛剤を飲んでから飛行機に乗る人もいるようです。
突然に現れて、この世のモノとは思えない痛みを発生させる飛行機頭痛は、知っておいて損はない情報です。備えあれば患いなしですので万全の準備をして飛行機を楽しみましょう。
点鼻薬・気圧コントロール耳栓・鎮痛剤は飛行機乗るときの3種の神器です。本当に死ぬ思いをするので準備しておくことをおすすめします。